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白鬚神社は隅田川の堤の脇にあり、
向島では最も古い由緒ある神社の一つです。
社伝によると、天暦5年(951年)に、
慈恵(じえ)大師が関東に下った際、
近江国志賀郡打颪(うちおろし)
(現在の滋賀県高島市)の白鬚大明神の分霊を、
ここに祀ったといわれています。
祭神は猿田彦命(さるたひこのみこと)で、
国土の神・道案内の守神であり、
隅田川沿いの道祖神の役割もありました。
御祭神が道案内の神というところから、
後世、お客様を案内する神という信仰が生まれ、
千客万来・商売繁昌などの祈願がなされました。
社前の狛犬や石燈籠などが、
当時の花街、吉原の料亭から
奉納されていることでも、
その信仰が窺われます。
平成2年(1990年)、
放火とみられる不審火にて社殿が全焼しましたが、
平成4年(1992年)にコンクリ-ト建てながら
以前にもます立派な社殿が完成しました。
境内には多くの石碑があり、
社殿のすぐ左手には加藤千蔭筆の白鬚神社縁起碑、
参道脇にまとめられた碑には、
墨多三絶の碑などがあります。
また、幕末の幕臣で、外国奉行だった
岩瀬鴎所(おうしょ)の供養碑もあります。
日米通商条約等で活躍した人ですが、
将軍の跡継ぎ問題のため安政の大獄で退けられ、
向島で晩年を過しました。
他に、永井荷風の母方の祖父で、
明治の顕官として活控した鷲津毅堂の
碑などもあります。
社殿で授与される勾玉型をした災難よけの土鈴は、
いかにもひなびた民芸品の香り高いもので、
人気があります。
また江戸時代に、近郊農業として生産された
寺島ナスにちなむ「招福茄子」の根付けが
頒布されています。